【SF】ただ一つの星を目指した少年少女の物語【地球へ…】
昔からファンタジーとSFが大好きです、ゆーです。
学生時代には、名作と呼ばれる漫画を中心に読んでいたため、20代女性ですが時代に拘らず、幅広いジャンルの漫画を読んでいます。
その中でも、個人的にオススメしたいSF漫画がございます。それが【地球へ…】です。
今回は、本作を知らない方(主にZ世代の方)に向けて、令和の若者視線から作品を紹介させていただきます!
本記事には、一部ネタバレを含む可能性がございます。知識0で読みたい方はご注意ください。
【地球へ…】とは
地球へ… 1巻
【地球(テラ)へ…】とは、1970年代に【月刊マンガ少年】という雑誌で連載されていたSF漫画です。作者は【風と木の詩】でも有名な竹宮惠子先生です。
過去には2度もアニメーションになるなど、かなり人気のある作品になります。
あらすじは以下の通り。
マザーコンピューターによって完全管理された時代で、ジョミーは【目覚めの日(14歳の誕生日)】を迎える。晴れて【成人検査】を受けることになったが、それはジョミーが特殊な存在【ミュウ】であることを証明するものとなった。
排除寸前のところを救ったのは、近頃夢に出てきた少年【ソルジャー・ブルー】であった。それを機に、ジョミーは【ミュウ】として生きていくことになる…。
その一方で、コンピュータに認められた孤高のエリート・キースは、人間ならざるもの【ミュウ】の根絶にいそしむ。その中で、自身の出生や【ミュウ】の存在に懐疑的な気持ちをあらわにする…。
コンピュータに支配された【人間】と特殊能力を持った存在【ミュウ】の対立を描きながらも、ジョミーは【ソルジャー・ブルー】が憧れた、ただ1つの星【地球(テラ)】を目指すという物語です。
SFというと、どこか【漢らしい】イメージもありますが、本作は女性が描いていることもあり、美しくもありSFらしいロマンもあるため、男女問わず読みやすい作品です。
また、アニメ映画【地球へ…】の主題歌は名曲ですので、もしかしたら知っている人もいるかもしれません。聴いたことがない方は、是非聴いてみてください!
見どころ
SF漫画の名作【地球へ…】の見どころは以下の通りです。
- SF特有の【ロマン】がある
- 立場の異なる2人が主人公
- 【多様性の時代】だからこそ感じること
SF特有の【ロマン】がある
私がSFを好む1番の理由は【宇宙や別世界へのロマンがある、感じるから】です。そのため、同じSFでもリアリティのある作品は、そこまで手に取らないことが多いです。
【地球へ…】はまさにロマン派のSFです。(という日本語はおかしいですが…😅)
異常者として追い出された存在【ミュウ】とマザーコンピュータに管理された星に生きる【人間】の対立を筆頭に、互いの存在に疑問を持っていく…。そんな近未来的な作品になっています。
特に「宇宙船」「コンピュータに管理された社会」あたりが、ロマン派SF好きとしては、グッとくるポイントです👏
ただ、立場の異なる勢力の対立は、どこか現代においても重なる部分があります。まさに「私たちはどう生きるか」ですね!←例の作品とは一切関係ないです。
立場の異なる2人が主人公
本作には、2人の主人公がいるといっても良いかもしれません。それが【ミュウ】のジョミーと【人間】のキースです。
【ミュウ】ジョミー
ジョミーは元【人間】サイドの人で、組織が行う【適性検査なるもの】を受けた際に、【ミュウ】としての才を見出され、【ミュウ】の長【ソルジャー・ブルー】に助けてもらったのでした。
「助けてもらう」という表現は【ミュウ】サイドの考え方です。というのもこの【適性検査】は、支配された地球に適応できない【異常者】を炙り出す検査でもあり、異常者は排除されてしまうのです。そしてその異常者は【ミュウ】と呼ばれる特別な力を秘めた存在でもありました。
紆余曲折あり、晴れてジョミーは【ミュウ】の存在と自身の立場を理解します。そして、自分を助けてくれた【ソルジャー・ブルー】に代わり、新しい長になるのでした…。
【人間】キース
【人間】と書かせて頂きますが、これはあくまで【マザーコンピュータの示す人間】という意味です…。
キースは、何故か幼少期の記憶がなく、コンピュータに管理された社会で孤独に生きる【メンバーズ・エリート】の一人です。かなり優秀ではあるものの、どこか機械人間じみたところがあります。また、自身が完璧な存在ゆえに、周りには冷たく正論を問うタイプで、多くの人が距離を置きたくなるような人物です。
ですが、とある出来事を境に、自身の正体や【ミュウ】について深入りしていきます…。
そのため、冷徹な男がある意味【人間】らしく成長する物語とも取れます。
ちなみに私は、このキースという登場人物が結構好きです。【ミュウ】として多くのものに好かれるタイプの指導者ジョミーとは違い、【人間】として多くのものに距離を置かれるタイプの指導者キースは、どこか可哀想な人に見えます…。
こういった立場もタイプも異なる2人だからこそ、物語は面白いんだと思います。
【多様性の時代】だからこそ感じること
近未来の物語として描かれた作品ですが、個人的には「令和の時代」にも置き換えて考えることのできるストーリーだと考えています。
「コンピュータに支配された世界」
例えば「コンピュータに支配された世界」という点です。一見「別に支配されてないけど?」と思うかもしれません。ですが、今はインターネットが当たり前の世界です。すぐ隣にはネットワークが構築されており、コンピュータが人間に代わって働いたり、AIによる判断をあてにしている人も増えました。
こういった点が行き過ぎると、人間社会はあっという間にコンピュータに乗っ取られてしまうのでないでしょうか?近年【ChatGPT】が普及して、考えることを放棄してAIの答えを正解とする人もいます。正直、参考にするならともかく、何でもインターネットをあてにしてはいけないように感じます。
そういったなれの果てが、この【地球へ…】の人間たちなのかもしれません。人間は考えることのできる生物なのですから、問題解決も自分たちの頭で考える必要があると思います!
「色んな人間がいる」ということ
世の中には、性別も年齢も国籍も違う人がたくさんいます。そんな人たちと「どう向き合っていくのか」が、多様性なのではないでしょうか?好き嫌いは別として、色んな人間がいることは、認めるべきなんだと思います。
本作では【ミュウ】と呼ばれる存在が出てきます。彼らは特殊な力を持っている代わりに、盲目だったりろう者である人が多いのです。そして繊細で脆いのも特徴です。
そういった【ミュウ】を排除し、完璧な【人間】を生み出し管理していくコンピュータは、本当に正しいのでしょうか?【人間】は考えるのをやめ、コンピュータの声が正しいと認識するようになりました。それは本当に素敵なことなのでしょうか?
私は違うと思います。どんな人でも同じ地球に生まれたのなら、存在を認め合うべきだと思うのです。私がやるべきことは、差別や排除ではなく「向き合い方を考えるべき」なのです。
そういったことを改めて考える機会を与えてくれた【地球へ…】という作品には、本当に感謝しています。そして、向き合うためにどうすべきかを、皆で考えていける世の中になると良いと思います。
こんな人にオススメ
名作が読みたい方、SFが好きな方は一度は読んでみるべきです。
- SFが好き
- 名作が読みたい
- ロマンがある作品を好む
- 【対立する2つの勢力】というワードに惹かれる
- SFが好きではない
- 日常系を好み、小難しい作品は読まない
- 古い画風に抵抗がある
- 差別的要素を連想させる作品はキツイ
どうしても【ミュウ】という存在が差別的に取れる可能性があるので、そういったものに抵抗がある人は難しいかもしれません。ですが、決して意味のない描写ではないので、目を瞑るのではなく、是非考えながら読むことをオススメします。
また70年代の作品のため、画風の古さは否めません。ですが、当時のSF漫画らしく機械や船の描写が細かく、とても魅入られると思います✨
最後に
いかがでしょうか。
少ない巻数ではありますが、魅力的な登場人物も多く、引き込まれること間違いなしです✨
では、次の記事でお会いしましょう!
さいならー👋
地球へ… 1巻